花粉症編ー③市販薬

アレルギー

花粉症のお薬をどう使い分ければよいか、症状別にご紹介していきます。

抗ヒスタミン薬はどんなお薬があるの?

花粉症には「抗ヒスタミン薬」がしばしば使用されます。

今回は、その「抗ヒスタミン薬」の概要と比較を行っていきます。ぜひ最後までお読みください。

→抗ヒスタミン薬についての説明はこちら

下の比較表に示したお薬(濃いオレンジ色)が、実際にドラッグストアなどで販売されているお薬です。お薬を選びやすくするために、抗ヒスタミン薬の「効き目」と「眠気」を軸に比較しました。

参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/3/123_196/_pdf

  • こちらの比較表は各薬剤のインタビューフォームを参考に作成しています。この比較は目安となりますので、実際の効果は個人差があります。
  • 比較表はすべて成分名です。
  • ( )内の数字は、一日に服用できる回数です。例えば「ロラタジン(1)」は1日1回の服用で効果が発揮されるお薬となります。

多くのお薬は、お薬としての効果の強さと、眠気(集中力低下)の副作用は相関するものが多いかと思います。

これらのお薬から、自分のライフスタイルにあったお薬を選ぶために、「眠気や効果の強さ」「1日に何回お薬を飲むか」などが重要になってきます。

例えば、お仕事などで普段から車を運転される方は、「眠気が起こりにくいお薬選び」が必要となりますし、また、生活環境に合わせて「1日1回飲んだら長く効果が続くお薬を選ぶ」と内服を継続しやすい方もいらっしゃるかもしれません。

では、上の比較表に記したお薬について、市販薬から特徴をご紹介していきます。

  • これからご紹介するお薬は、「商品名®(成分名)」の順番で表記しています。
  • ここに載せた市販薬は、病院でも処方してもらうことができます。1錠中に含まれる薬効成分の量は、基本的に市販薬と病院のお薬とで同じ量になります。
  • エバステル®(エバスチン)のみ、市販薬は5mgで販売になりますが、医師からの処方薬では5mgと10mgの2種類あります。
  • 1錠中に含まれる成分量について、例えばアレジオン®の市販薬は「20mg」での販売ですが、医師からの処方薬では「10mg」「20mg」の2種類存在するなど、より少ない成分量からお試しいただける場合もあります。

アレグラFX®・アレルビ®など(成分:フェキソフェナジン)

1錠中に「フェキソフェナジン60mg」が含まれます。作用時間が比較的短いため、1日2回の服用が必要です。

このお薬は、日本で一般に販売される花粉症治療薬の中で「売れている」お薬といわれています。その理由として、一般的に抗ヒスタミン薬の副作用として眠気があり、「眠くなりにくい」お薬として販売されたことがあると考えられます。眠くなりにくい特性から、車の運転を禁止されていない数少ない抗ヒスタミン薬のひとつです。

【メリット】

・眠気が出にくい

車の運転可とされている

【デメリット】

・効果は比較的弱め

・腎臓が悪い方は服用を始める前に医師、薬剤師に相談した方がよい

・作用時間が短めなので、1日2回服用になる

新コンタック鼻炎Z®・ストナリニ®Zジェル(成分:セチリジン)

1錠中に「セチリジン10mg」を含有するお薬です。前述のアレグラ®の方が即効性はありますが、効果はこちらの「セチリジン」の方が強いです。ただし、効果は強いですが、眠気の副作用も強いため、寝る前に服用するなどの工夫が必要になるかもしれません。

【メリット】

・強い効果を発揮する

・市販薬の中で比較すると、即効性の面で優れている

・1日1回服用でよい

【デメリット】

・眠気が比較的強く出る可能性がある→運転不可

・腎臓が悪い方は服用を始める前に医師、薬剤師に相談した方がよい

エバステル®(成分:エバスチン)

1錠中に「エバスチン5mg」を含有します。服用してから効果が出るまで時間を要しますが、長く効くお薬なので、毎日続けて1日1回飲むことで、1日中効果が持続することが期待できます。よって、症状がでる前から早めに飲み始めて、お薬の効果が発揮されます。

効果の強さ、眠気ともに中間ぐらいの立ち位置のイメージがあるお薬です。

【メリット】

・効果が長く持続するため1日1回の服用でOK

・毎日続けて飲むことで安定した効果が得られると考えられる

・腎臓が悪い方でも量を減らすなどの調整なしで飲める

【デメリット】

・効果がでるまで時間がかかる(即効性はない)

・比較的眠気がでる→運転注意

クラリチン®(ロラタジン)

1錠中に「ロラタジン10mg」を含有します。眠気の副作用が少なく、車の運転が可能なお薬です。1日1回の服用で長く効くのも特徴になります。

クラリチン®(ロラタジン)は「体内で成分が分解」してデザレックス®(デスロラタジン)に変化して効果を発揮します。

【メリット】

・眠気が出にくい

車の運転可とされている

・作用時間が長いお薬なので1日1回の服用で良い

【デメリット】

・効果は比較的弱め

・空腹時に服用すると薬効が劣るため、食後に飲む方が効果的

・体内でデザレックス®(デスロラタジン)にうまく分解されないと効果が発揮されにくい

しかしこのお薬は、例えば体内でアルコールの分解がうまく出来ない方がいるように、クラリチン®(ロラタジン)からデザレックス®(デスロラタジン)への分解がうまく出来ない体質の方もおり、その方には効果が発揮されにくいという欠点も存在します。

そこで、このお薬を改良した「デザレックス®(デスロラタジン)」が生まれました。このお薬は、クラリチン®(ロラタジン)が分解された薬効物質「デザレックス®(デスロラタジン)」そのものをお薬にしています。

詳しくは、次のページ「病院でもらうお薬(抗ヒスタミン薬)」でご説明します。

アレジオン®(エピナスチン)

1錠中に「エピナスチン20mg」を含有します。食事の影響を受けるお薬で、食後よりも空腹のときの方が、効果が高くなります。そのため、病院で医師から処方される場合は、「就寝前に服用」となる場合があります(就寝前=空腹時でお薬の効果が高くなると見込まれる)。

1日1回飲むお薬です。やや眠気の出やすい印象があります。

【メリット】

空腹時に飲むことで、効果が高まる

・1日1回服用

【デメリット】

・比較的眠気がでる→運転注意

・食事の影響を受ける

花粉症の症状を和らげるためには?

花粉症は医療機関を受診したり、お薬を飲んだりしても、「良くならなかった」と自覚されている方が多く存在する疾患です。

花粉症の症状が出た場合、お薬も効果的な治療手段ですが、やはり「花粉の回避」をしていただくことで、本来の治療効果は発揮されます。

《花粉の回避方法》

・自宅に帰ったら、手洗い、うがい、洗顔をおこなう

・花粉の飛散が多い日は外に出るのをできるだけ控える

・マスクやメガネを活用する

・飛散の多い日は、窓をあけての換気に気を付ける

・そうじをおこなう

上記の方法で、症状が緩和される可能性があります。ご自身でできることを試してみるのもよいでしょう。

もちろん症状には個人差がありますので、お薬で症状を和らげるのも有効な手段です。過去にはご自身で購入できる花粉症、アレルギーのお薬の効果には限界があるとされてきましたが、今日では購入できるお薬の幅もかなり広がっています。

辛い花粉症を和らげるために、こちらの情報をご活用していただければ幸いです。

まとめ

今回は、花粉症に使われる「抗ヒスタミン薬」の飲み薬(市販薬編)について概要の説明と比較を行いました。基本的に「抗ヒスタミン薬」は、眠気の出やすいお薬ですが、近年では「眠気」の副作用を克服したお薬も徐々に販売され始めています。「眠気」の副作用が緩和されたお薬の出現で、「自動車の運転」が可能になってきました。また従来のお薬と比較して、長時間作用型のお薬も増えて来ており、1日1回の服用で良しとされるお薬も出てきました。

それぞれのお薬によって、効果、眠気の副作用、効果が続く時間などの違いがあります。ご自身が続けやすいお薬選びのために、こちらの情報が参考になれば嬉しく思います。

次回は、病院で処方されるお薬についてご紹介していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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