便秘編ー③その他の病院で処方される便秘薬

消化器(おなかの話)

便秘薬(下剤)の選び方について、3回に分けてご説明していきます。

その他(おまけ)

近年発売された、特徴的なおくすりをご紹介していきます。

いまからご紹介する3つのお薬、

「ルビプロストン(アミティーザ®)」

「リナクロチド(リンゼス®)」

「エロビキシバット(グーフィス®)」

は、2022年4月現在、市販薬での発売はなく、病院で医師から処方してもらうお薬となっています。

ルビプロストン(アミティーザ®) 

このお薬は、

①腸管内の塩素イオン(Cl-)を増やす (→腸管内へ水分が移動してくる)

②腸液の分泌を促す

の2つの作用により、便の水分含有量を増加させて、便をやわらかくする新しい作用方法をとるお薬です。

ルビプロストン(アミティーザ®)は、これまでにご紹介した既存の刺激性下剤や、非刺激性下剤を使用しても、十分な効果が得られなかった方や、それらのお薬の副作用などが問題となる方に処方されます。

このお薬は、妊婦さんへの使用が難しい点にご留意ください。

(参考)

従来より漢方薬として使用されている「麻子仁(マシニン)」は、このルビプロストン(アミティーザ®)と同様「腸管内の塩素イオン(Cl-)を増やす」作用を持つことが、近年の研究でわかってきました。

この「麻子仁(マシニン)」は、漢方薬「麻子仁丸」や市販薬「オイルデル®」に含有される生薬成分です。

参考文献:https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2019/files/22145.pdf

リナクロチド(リンゼス®)

このお薬は、腸管にあるGC受容体(グアニル酸シクラーゼ受容体)に結合することで、

①腹痛、腹部不快感の抑制

②腸液の分泌を促進して排便を促す

という2つの作用を示すと考えられているお薬です。

リナクロチド「リンゼス®」は大腸で、GC受容体(グアニル酸シクラーゼ受容体)に結合し、cGMP(サイクリックGMP)濃度を上昇させます。cGMPの濃度が上昇すると、cGMPが神経を介して腹痛や腹部不快感を緩和します。また、cGMP濃度上昇で、腸管壁からの腸液分泌を促します。

これらの作用により、腹痛に対する効果や排便効果が期待できるお薬です。

このお薬は食後投与で「下痢」の副作用が多かったことから、「食前(食事の30分前)」に内服とされているお薬です。

このお薬を飲む人の中には、どうしても「下痢」などの副作用が強く出てしまう場合があります。これらの副作用でお薬を飲み続けることが難しい場合は、医師や薬剤師に相談していただければ幸いです。

エロビキシバット(グーフィス®)

このお薬は、回腸で起こる胆汁酸の吸収を阻害して、大腸まで胆汁酸を届けることで、

①大腸の運動を促進

②大腸内へ腸液の分泌を促進

の2つの作用で便秘を改善します。

通常時

エピロキシバット(グーフィス®)内服時

このお薬も「食前(食事の30分前)」に内服とされているお薬です。

理由としては、このお薬にかかわる「胆汁酸」は食事後に分泌が多くなるので、「胆汁酸」の分泌が多くなる食前に「エロビキシバット(グーフィス®)」を服用しておくと、お薬が回腸に先回りできるので、「胆汁酸」の吸収をより効率的に防げるからです。

このお薬は、体内にほとんど吸収されず下剤としての効果を発揮するため、腎臓などの臓器が弱っている方にも使いやすいお薬になっています。

副作用としては、「腹痛」「下痢」になりますので、これらの副作用で、自分の体に合ってないと思われたときは、遠慮なく医師や薬剤師にご相談いただければと思います。

まとめ

今回は病院で処方される比較的新しいお薬についてご紹介しました。

新しいお薬のため、まだドラッグストアにてご自身でお買い求めはできませんが、今後安全性などのデータが蓄積されていけば、市販される可能性は十分にあるお薬です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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