「せき」と「たん」編ー②鎮咳薬(せきどめ)を使うタイミング

呼吸器

「せき」と「たん」編

①せきの原因とお薬の選び方

②鎮咳薬(せきどめ)の概要

③鎮咳薬(せきどめ)の比較

鎮咳薬(咳止め)はいつ使うの?

「せき」は異物を除去する防衛反応であるため、本来抑えるべきでないとされています。しかしながら、持続的なせきによって睡眠障害や、食事摂取が難しくなる場合など、日常生活に支障をきたす場合は、「鎮咳薬(咳止め)」を使います。

鎮咳薬(咳止め)

鎮咳薬は、中枢性鎮咳薬末梢性鎮咳薬に分かれます。さらに中枢性鎮咳薬は、麻薬性鎮咳薬と非麻薬性鎮咳薬に分類されます。

末梢性鎮咳薬とは、気道などにあるせきのセンサー(咳受容体)などへの刺激を抑える効果を持つ薬剤で、トローチなどがあります。

では、各種これから詳しくご説明していきます。

中枢性鎮咳薬

まず「せき」がでる過程をおさらいします。

異物が気道にあるセンサー(咳受容体)を刺激すると、神経を介して脳の咳中枢を刺激します。刺激された咳中枢は、呼吸筋へと命令し、吸気→腹筋などの収縮という順序で「せき」を出させます。

このように、「せき」が出る過程で脳の「咳中枢」が命令系統となっているため、咳中枢を抑制するとせきは止まります。

そして、咳中枢を直接抑えることで、せきをとめるお薬が「中枢性鎮咳薬」です。

咳中枢を直接抑えると、咳中枢から呼吸筋などへの反応を起こさなくなるため、せきは抑えられます。このようにして「中枢性鎮咳薬」はせきを抑制します。

中枢性鎮咳薬の種類

【麻薬性】中枢性鎮咳薬

コデイン

ジヒドロコデイン

オキシメテバノール(メテバニール®)など

【非麻薬性】中枢性鎮咳薬

ノスカピン

デキストロメトルファン(メジコン®)

チペピジン(アスベリン®)

ジメモルファン(アストミン®)

グアイフェネシン(フストジル®)

クロペラスチン(フスタゾール®)

エプラジノン(レスプレン®)

など

生薬

杏仁(キョウニン)

麦門冬湯 など

【麻薬性】と【非麻薬性】の鎮咳薬は、どちらも「咳中枢を抑制する」点で同じですが、依存性の有無や副作用の起こりやすさで、この2つに分類されます。

各薬剤の違いは、次回ご説明していきます。

末梢性鎮咳薬

せきのセンサー(咳受容体)を遮断したり、センサーへの刺激を抑制したりすることで、神経を介した脳の「咳中枢」への連絡・反応を起こさないようにして、せきを抑えます。

せきのセンサーへに対する刺激の発生を抑制する薬剤として、トローチやうがい薬が用いられます。こちらは原因にかかわらず効果を示すとされています(非特異的治療)。

そのほかに、せきの原因となる疾患(ぜんそくや肺炎など)にあわせて、気管支拡張薬や抗菌薬などを使い分けますが、今回は割愛させていただきます(特異的治療)。

末梢性鎮咳薬の種類

【トローチ】

デカリニウム(SPトローチ)など

【うがい薬】

アズレンスルホン酸ナトリウム(アズノールうがい液)

ポビドンヨード(イソジンガーグル)

など

まとめ

今回は咳止めの種類をご説明しました。

前回記述しましたが、「たんの出るせき」の場合、せきを止めるとたんの喀出が困難となり、窒息の可能性もあるため、中枢性鎮咳薬は「乾いたせき(たんの出ないせき)」に用いられます。

また、高齢者など、誤嚥(飲食物やだ液を、食道でなく気道に飲み込むこと)のおそれのある方には、誤嚥が原因の肺炎を誘発する可能性があるため、投与を避けるべきとされています。

次回は、今回ご紹介したお薬の比較や違いについてご説明していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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